Pelotomaculum thermopropionicumのゲノム解析 の変更点


[[研究内容紹介]]

*Pelotomaculum thermopropionicumのゲノム解析 [#z432b08f]

嫌気的な物質分解は、多種の細菌の共生的異化反応が協調する事により進行する。特に、中間代謝物であるプロピオン酸は、2種の菌株が共生する事によってのみ分解される。P. thermopropionicum は、嫌気的環境下においてプロピオン酸の共生的分解を担う代表的な菌株である。本菌のゲノム解析により、微生物が生育環境にどのように適応し進化したのかを理解出来ると考え、全ゲノム配列 3,025,375 bp を決定し特徴を解析すると共に、多種の微生物ゲノムとの比較解析を行った。
全塩基配列解析の結果、2920 の遺伝子を同定した。同定遺伝子の機能分類解析では、本菌は特徴的な遺伝子分類パターンを示し、それは生育環境によるものである事が示唆された。プロピオン酸代謝経路である methylmalonyl-CoA 経路は異化経路の中心であり、周辺の代謝経路がリンクしていた。また、代謝系遺伝子の多くが遺伝子上流に PAS domain を含む転写制御因子を有する事から、本菌の異化経路は生育環境や細胞内の状態によって制御されている可能性が示唆された。一方、コドン使用頻度による比較ゲノム解析により、本菌を含む共生細菌は遺伝子の進化的特徴が類似している事が明らかとなった。以上の事から、P. thermopropionicum は生育環境に必須である共生に特化し進化した細菌であると考えられる。