秋葉太貴_MALDI法 の履歴の現在との差分(No.2)


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[[動画一覧]]&br;

*309003 秋葉太貴さんのデータより [#uf8d3e8b]
**&size(22){マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法}; [#e894706b]
***&size(20){マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法 説明1}; [#kea6f3d1]
&size(20){物質に紫外レーザー光を照射すると、物質が光を吸収して光電子移動が進行し、イオン化される。この直接的なレーザー照射によるイオン化法をレーザー脱離イオン化法(Laser Desorption / Ionization、LDI)という。しかし、LDIでは物質の種類によっては効率的な電子移動が行われず、試料がレーザーでダメージを受けてしまうという欠点があった。そこで、レーザー光によってイオン化されやすい物質をマトリックスとしてサンプルと予め混合しておき、これにレーザーを照射する事でイオン化する手法、すなわちMALDIが開発された。};&br; 
&br;
&size(20){サンプルとマトリックスの混合物(混晶)に窒素レーザー(波長337nm)のパルスを当てると、マトリックスは瞬時に励起され、受け取ったレーザーの余剰エネルギーを熱エネルギーとして放出する。その結果、マトリックスとサンプルは気化され、同時にマトリックス-サンプル間でプロトンの授受が起こってサンプルがイオン化される。このとき生じるイオンは主に[M+H]+、 [M+Na]+、[M-H]- 等である。サンプルの種類によっては[M+]や[M-H]- も観測される。また、MALDIで生じるイオンは多くの場合一価であるが、二価イオン([M+2H]2+)が生成される場合もある};&br; 
&br;
&size(20){MALDIには多くの場合TOF型(Time of Flight、飛行時間質量分析計)の分析部が組み合わされる。生成したイオンは加速電圧(20~25kV前後)を印加されて運動エネルギーを生じ、イオン検出器まで飛行していく。イオンが受け取るエネルギーは電荷量のみに依存する為、電荷に対する質量(質量電荷比)が大きい分子は低速で、逆に小さい分子は高速で飛行する。この差異により、検出器に到達するまでの時間差からサンプルの質量を割り出す事が可能となる。TOFの場合、原理的には検出時間を延長すれば質量に検出上限は無く、実際に分子量数百~数十万の幅広い質量に対応した測定が可能である。};&br; 
&br;
&size(20){最近ではTOFの実装はイオン反射装置であるリフレクトロンを伴うものが多く、飛行距離を伸ばすと共にイオンの運動エネルギー誤差を相殺し、より高精度の分析が可能となっている。また、混晶にレーザーを当てた直後の数百~数十nsは加速電圧を印加せず、その後一斉に加速すること(delayed extraction、遅延引き出し)で初期状態の違いによる検出時間のバラつきを抑える事が可能である。};&br; 
&br;
&size(18){http://ja.wikipedia.org/wiki/MALDI%E6%B3%95};

***&size(20){マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法 説明2}; [#k534a6b4]
&size(20){レーザー脱離イオン化(laser desoeption/ionization :LDI)の技術が登場したのは1960年代の後半であり、電界脱離(field desorption : FD),カルフォルニウム252(252Cf)プラズマ脱離(252californiumplasmadesorption :252Cf-PD),あるいは高速原子衝撃(fast atom bombardment :FAB)よりも早い。LDIで低質量の有機塩やレーザー光を吸収する有機化合物を測定するのは簡単だが、試料の良好なマススペクトルを得るためには、LDIよりもFABや252Cf-PDのほうがはるかに有用であった。};&br;
&size(20){ レーザー脱離質量分析の試料調整で、光吸収性のマトリックスを混合する方法が創案されてから、状況が一変した。ここでは、コバルトの超微粉末(粒径30nm)を具リセロール中で試料溶液と混合する方法と、試料と有機マトリックスの混合結晶を調整する方法の2つのアプローチが開発された。飛行時間型(time-of-fright : TOF)質量分析計と組み合わせれば、いずれも分子量約10万のタンパク質のマススペクトルを得ることができる。しかし、コバルトなどの超微細金属粉末と液体マトリックスを組み合わせる方法(ultrafine-metal-plus-liquid-matrix)は、現在ではあまり利用されていない。コバルト微粉末を混ぜる方法よりも、感度も高いため、実用性にははるかに優れている。現在、MALDIは最先端の生化学や高分子化学における代表的な分析手段の1つになっている。};&br;
&size(20){ 10.1 LDI と MALDI のイオン源};&br;
&size(20){ LDIとMALDIはいずれも、固体状の試料層が照射レーザー(337 nm)、エキシマレーザー(193 . 248 . 308 .および 351 nm)、Er:YAG レーザー (2.94 μm)、TEA-CO2レーザー(10.6μm)などが用いられている。};&br;
&size(20){ 一般的な LDI/MALDI イオン源の装置構成は、比較的単純である。パルスレーザー光は、焦点径 0.05~0.2 mmの小さなスポットに照射される、MALDI では、レーザー光の放射照度は最も重要なパラメータのひとつなので、レーザー光路照度を調節する。そのためには、100%付近から約1%まで透過率を調節できる回転 UV フィルター等が用いられる。LDI/MALDI イオン源は、通常室温で操作する。};&br;
&size(20){ 10.4  調整試薬};&br;
&size(20){ 10.4.1 標準的な試薬調整};&br;
&size(20){ LDI と MALDI の標準的な試料調整法では、MALDI ターゲット (MALDI target)と呼ばれるステンレス鋼試料ホルダー(stainless-steel-sample holder)の表面上に 0.5~2μl の溶液を滴下し、乾燥させる。そのため、分析種は何らかの溶媒に少なくとも約 0.1 mg ml-1 の濃度となるようにマトリックスを溶解する。次に、分析種溶液とマトリックス溶液を混合する。良いMALDIマススペクトルを得るためには、マトリックスと分析種を、モル比で 500:1~5000:1 の範囲で混合するのが一般的である。すなわち、1μl の分析種溶液を 5~50 μl のマトリックス溶液に加えることになる。この範囲であれば、良好な信号対雑音 (S/N) 比と、フラグメンテーションを抑制したマススペクトルはを得ることができる。観測されるマススペクトルは LDI マススペクトルと類似するようになる。試料濃度が低すぎると、十分なイオンを生成させるためには高強度のレーザー照射が必要になる。しかし、適切に調製すれば、、マトリックスと分析種のモル比が 108 : 1 でも良好な結果が得られ、この条件では 1 fmol の試料でもマススペクトルを観測することができる。分析種とマトリックスの間の相溶性が高いことも必要である。};&br;
&size(20){ 結晶化の過程は、LDI と MALDI 試料調製において決め手となるパラメータである。例えば、水溶液を揮発させると、結晶が大きくなりすぎ、ショップ間の再現性と質量値の正確さが損なわれることが多いので、できるだけ均質に分布した微結晶の薄層を調整することが望ましい。このような薄層を形成するためには、アセトンのような揮発性に高い溶媒を用いる。などの方法を用いると良い。薄層法 (thin layer technique) と呼ばれたこの方法の開発により、MALDI の試料調整法は大きく進歩した。};&br;
&size(20){ 10.4.3  溶媒を用いない試料調製法};&br;
&size(20){ もし試料が全く不溶性であるか、通常の MALDI 試料調整法では用いられない特殊な溶媒にしか溶解しない場合、振動ボールミルなどを用いて、試料を固体状のマトリックスとともに粉砕し、得られた粉末をターゲットから穏やかに吹き飛ばしておくと良い。};&br;
&size(20){ 10.4.4 試料導入};&br;
&size(20){ MALDI の測定試料を導入する方法は、開発当時から現在に至るまでの間に大きく進歩してきた。当初の実験では、FAB プローブを模したデザインの MALDI プローブが用いられ、試料スポットは1つしかなかったが、初期の市販品は、ターゲット上におよそ 20 スポットを備えており、そのターゲットが入手可能である。こうしたターゲットを使いこなすためには、自動試料調製と MALDI マススペクトルの自動測定法を込み合わせる必要がある。};&br;
&size(20){ 良い MALDI マススペクトルを得るために必要な試料スポットの大きさと試料量は、アンカーターゲット(anchor target) (Bruker Daltonics) と呼ばれる試料ターゲットを利用すれば、さらに小さくすることができる。アンカーターゲットでは、疎水性の基板表面に小さな疎水性のスポットが形成されている。そのため、敵化した分析種とマトリックスの混合溶液の液滴は、疎水性スポットに繋ぎ止められたまま揮発しながら縮小するので、結晶はこの小さな疎水性スポット内に析出する。この調整法では、液滴が広がる通常の方法と比べて、100 分の 1 程度の小さな面積に結晶を析出させることができる。また、検出限界が向上することに加えて、ターゲット上のスポット位置が正確に決まるので、試料スポットの自動検出が容易になるという利点がある。};&br;
&size(20){ 10.4.5  その他の試料搭載法};&br;
&size(20){ 測定試料を金属箔、TLC プレート、あるいは半導体基板上に塗布し、表面吸着した試料分子を試料分子を LDI で測定する方法がある。金属箔の種類は、LDI 測定で使うことができるものであれば何でもよい。この方法では(導電性の)両面テープや一般的に使われる接着剤によって、金属箔を試料ターゲット状に固定する必要がある。また、加速電圧を投入した際にイオン源内で放電がおこるかもしれないので、表面に先鋭な部位が存在しないように注意しなければならない。さらに、見かけ上の「資料層」が厚いので、質量較正に影響を与える可能性があることにも注意する必要がある。};&br;
&br;
&size(18){http://books.google.co.jp/books?id=4F7WIvPihYsC&pg=PA463&dq=MALDI%E6%B3%95%E3%80%80%E5%88%A9%E7%94%A8&as_brr=0&cd=3#v=onepage&q=MALDI%E6%B3%95%E3%80%80%E5%88%A9%E7%94%A8&f=false};

**&size(22){動画}; [#u9c7c430]
&size(20){[[質量分析法 タンパク質の構造解析:http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0410/contents/s3/sec3-03-01.html]]};&br;
&size(15){動画1説明};&br;

**&size(22){画像}; [#v5371884]

|500|SIZE(15):300|c
|#ref(309003_2_1.jpg,zoom,center)&br;|実験装置|
|~|画像提供組織&br;[[岐阜大学 生命科学総合研究支援センター 機器分析分野:http://www1.gifu-u.ac.jp/~lsrc/dia/8th_Seminar11_22.htm]]|
|#ref(309003_2_2.jpg,zoom,center)&br;|実験装置|
|~|画像提供組織&br;[[マトリックス支援レーザー脱離イオン化ー飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析装置応用化学科 精密有機合成化学研究室 加 藤 明 良:http://www.st.seikei.ac.jp/htr/pdf/MALDI.pdf]]|
|#ref(309003_2_3.jpg,zoom,center)&br;|原理|
|~|画像提供組織&br;[[画像3提供組織:http://homepage2.nifty.com/kirislab/welcome/xferrin.html]]&br;|
|#ref(309003_2_4.jpg,zoom,center)&br;|原理|
|~|画像提供組織&br;[[SHIMADZ 島津製作所 分析計測機:http://www.an.shimadzu.co.jp/tofms/axima/princpl1.htm]]&br;|

ページ作成者 nakaizumi